新聞やネットなど、一部の情報源からしかまだ与那国島の話が入ってきませんが、可能な限りアンテナを広げて台風21号による影響を収集しました。2015年10月1日時点の情報としてまとめました。
■建物の被害与那国島での住宅など建物への被害は、調査した518戸のうち、10戸が全壊、27戸が半壊、285戸が一部損壊で、322戸が被害を受けています。調査対象の62%が何かしら被害を受けているということになります。もちろん「一部損壊」に入れられていない被害もあると思いますので、実際は全く被害がなかった建物は皆無なのでは?
ちなみに各集落ごとの被害状況ですが、全住戸770世帯の中の518戸が今回の調査対象でしたので、各集落の被害戸数を1.5倍した数値で比較してみます。
・祖内 約480世帯中321戸が被害(約67%・実際は214戸/518世帯)
・久部良 約230世帯中129戸が被害(約56%・実際は86戸/518世帯)
・比川 約55世帯中33戸が被害(約60%・実際は22戸/518世帯)
全体の半分〜2/3が被災していると言うことになります。祖内では明らかにまともな建物の方が少ない数値。もちろんあくまで机上の単純計算によるものなので、実際はこれ以上ともこれ以下とも言えますが、とにもかくにも島に多大な被害をもたらしたことは確実。台風対策は万全の状態で、しかもこれまで数多くの台風を経験して、それを乗り切ってきた島なのに、この状況。史上最強の台風といっても過言じゃないでしょう。
■風力発電の被害とりあえず今回の台風で一番気になったのが東崎にある風力発電。どうしても強力な台風が来ると2003年9月に宮古島を襲った「台風14号」のことを思い出してしまいます。西平安名崎の風力発電をなぎ倒したあの台風。しかも今回はあのときより猛烈な暴風。でも倒壊は免れたようです。まぁ宮古島を襲った台風14号は風の強さ以上に宮古島海域で停滞してしまい、長い時間暴風にさらされましたからね。今回は速度は遅かったもののそのまま通過したのでまだマシだったようです。
でも支柱は無事でしたが、羽根はさすがに破損しましたね。そーいえば2007年にも与那国島の風力発電の羽根が破壊されましたが、今回もそのときにかなり近い状態になっているようです。風力発電はあまりに風が強くなると羽根が止まってしまうので、暴風時の破損は避けられないんですよね。波照間島のように支柱そのものを可倒式にして、羽根も支柱も守ることもできますが、風力発電が小型になってしまうので効率が悪いですからね。波照間島よりも与那国島は島も大きいですし人口も多いので、固定式の大型風車にならざるを得ないんでしょうね。
でも羽根を交換すればそのまま使えるならまだ良いのかもしれませんからね(その交換も簡単じゃないですが・・・)
ちなみに今回の台風直後の東崎の風車の状況、2007年時の風車の状況。比較してみました。今回の台風は沖縄電力の情報から、2007年の台風後は実際に島に訪れた際に撮影したものになります。
今回の台風21号後の与那国島の風車
2007年の台風シーズン後の与那国島の風車かなり似ていますね。でも2007年の方が3枚のうち1枚が破断し、もう1枚も破損していましたが、今回は1枚が破断したのみ。でも風は今回の方が遙かに強かったので、ちょっとした風向きや状況で影響も変わったんでしょうね。とにもかくにも支柱丸ごと倒壊しなくて良かったです。
■ライフラインおよび交通網の影響台風から丸2日経過していますが、与那国島の停電は一部でまだ続いています。一時期は島全体が停電でしたが、翌日には残り半分ぐらいになり、昨日は残り100世帯まで減りましたが、その後は変化無し。おそらく根本的な問題で復旧できなかったりしているのかもしれません。そもそも建物が倒壊したり半壊した状態で通電すると火事になる可能性もありますので、残り100世帯はしばらくこのままかもしれません。
通信手段については一時、半分が不通になっていたようですが、現在は固定電話はほぼ復旧し、携帯電話も一部のエリア以外では復旧しているようです。でも面白いのは携帯電話もさることながら固定電話でもプッシュ回線は不通だったものの、ダイヤル回線の黒電話は繋がっていたらしいですね。プッシュ回線は停電するとそのまま不通になりますが、ダイヤル回線は電気不要なので通話ができたらしいです。確かに離島ではまだ黒電話などのダイヤル回線の電話は残っていますね。ピンク電話とか。
あと島への交通手段ですが、昨日船も再開し、物資や災害対策車両なども到着したみたいですし、一時無線計器故障で発着できなかった与那国空港も無事に再開し、昨日は全便運行。といっても与那国島への飛行機は全てプロペラ機なので、物資運搬には限界がありますので、船をうまく使って島の災害対応をして欲しいものです。
■個人的に気になる島への影響既に今年の台風15号の影響で、サンニヌ台展望台はできたばっかりなのに被害をうけてしまい、使えなくなっていましたが、再開前に今回の台風。正直、原型が残っているか心配です。古いものはそれまでの台風に耐えてきた経緯がありますが、新しいものはそれがないのであっという間に破壊されることが多いんですよね。そういう意味では一番気になるのはサンニヌ台展望台ということになります。
また既にかなり破損している東崎の展望台。既に手すりはボロボロでしたが、ここも吹きさらしなのでかなり被害を受けていそうですね。西崎の展望台は建物がしっかりしているので問題無いと思いますが、気になるのがダンヌ浜の吾妻屋。トイレ施設は問題無いのですが、やや岬にある吾妻屋は既に屋根や柱の一部が崩落しかけていて使用禁止になっていたので気になります。
あと一番気になるのは南牧場線の自衛隊基地整備にともなう整備による影響。今までしっかりしていた地盤を切り崩して工事をしているので、その影響がどうなっているか気になるばかりです。あと放牧されている牛さんや馬さんも無事か気になります(笑)。
とにもかくにも同じ沖縄でも那覇だと島の情報が全く入ってこないので苛立ちます。多分、同じ八重山であっても与那国島の情報は他の島にはなかなか届いていないのかもしれませんけどね。与那国島は単独の離島なので、なかなか情報が入ってきません。しかもニュースでわかる情報は、今回の台風のほんの一面のみで、いわゆる「絵になる情報」のみ。絵にならない本当の島の状況が知りたい次第です。
でも島にいる友人には今はそれどころじゃないと思いますので、連絡しないようにしています。まぁ落ち着けば向こうから連絡がくるかもしれませんからね〜^^ゞ
そして今後、島以外にいる私たちにできること。今の島は災害復旧のために慌ただしくなっていますので、むやみに島には行かず、ある程度落ち着いたら島の振興のためにも足を運ぶのが良いんでしょうね。落ち着くと今回の台風のことを誰かに話したくなるかと思いますので、島へ行って聞いてあげるのも私たちができることだと思います。私自身、一度猛烈な台風の被害にあった経験がありますが、そのときも数日はとにかく自分のことで手一杯でしたが、落ち着いたらいろいろな人とそのときのことは話したくなりましたからね。
まずは仮設住宅の整備。1分1秒でも早くお願いしたい次第です。
<情報元>
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沖縄電力の台風21号復旧作業ページ(一番今の与那国がわかります)・
沖縄電力の停電情報(PCページ)・
写真で見る与那国島の状況(沖縄タイムス)・
与那国島の建物被害情報(琉球新報)・
与那国島の建物被害情報(沖縄タイムス)・
台風時の与那国島の動画(沖縄タイムス・Youtube)(コメント不可)
posted by 離島ドットコム管理人 at 2015/10/01-19:55
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沖縄台風/災害情報